原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)

日本の加盟が発効条件となっていた「原子力損害の補完的な補償に関する条約(CSC)」締結承認案と2つの関連法案が2014年10月24日、閣議決定されて衆議院に上程された。11月13日、衆院本会議を通過し、19日の参院本会議で可決、承認された。社民、みんな、共産、生活の各党が反対した。国会を通れば90日後に発効する。

CSC条約について、福島原発事故から8ヵ月後の2011年11月に開かれた原子力委員会の会合に文科省原子力損害賠償対策室が提出した資料には、「CSCに加入した場合に考えられる主要な意義」の一つとして「わが国メーカーが海外にプラント輸出する場合、輸出先国がCSC締約国であれば、当該国で原子力事故が発生した場合、その原子力事故の責任を免除される」と明記されている。

条約の規定では、原子力事故の責任は電力会社などの原子力事業者に限定され、原発メーカーは免責されるため、原発輸出を推進する役割を果たすことは明らか。また、条約は加盟国に(円換算で)最低470億円の賠償を義務づけるものの、賠償額がそれを上回った場合には加盟国が国際的に支援する仕組みであるため、結果的に原子力事業者を助けることにもなる。